社長が訊く#01「HACARUS Workplace Safety(労働安全支援アプリ)」
- HACARUS

- 藤原
- みなさん、お疲れさまです。栄えある第一回ということで、HACARUSの新しい製品である労働安全支援アプリ(HACARUS Workplace Safety)について詳しくお聞きしたいと思います。先ずは労働安全支援アプリとは何ぞやと、全く知らない方に対して、概要説明をお願いできますか?
- 高橋
- そうですね。先ず基本的には、建設現場とか工事現場において、カメラとAIを組み合わせて、作業員の方の不安全な行動とか設備の不安全な状態とかをAIが検知して、現場にアラートなど通知をすることによって災害を防ぐということを目的としたアプリになってます。
- 藤原
- なるほど、了解です。ま、知ってるんですけどね(笑)。
- 一同
- (笑)。
- 藤原
- お作法的にね、知ってるけど、あーそうですかーって(笑)。どうしてそのようなプロダクトを作ることになったんでしたっけ?
- 深町
- 例えば建設現場だと、2024年問題というのが大きな話題になっています。一体どんな問題かというと、2024年から時間外労働の上限規制が、建設業にも適用されます。もちろん働き方改革は当然重要なのですが、少子高齢化の影響などでも労働不足が深刻化していて、安全性は確保しなければならないけれども、一方で限られた人数で生産性をあげなければいけないという事情もあったりして、そういうところがかなり急務になっているんです。で、そういう業界の助けになるようなプロダクトを目指しています。

- 藤原
- なるほど。
- 深町
- 現場監督の「眼」になる、というキーワードをつけさせていただいていると思うんですけど、まさにそんなところです。
- 藤原
- うーん、なんか模範解答すぎて、なんか用意されたスクリプトを読んでるかのような感じがしたんですけど(笑)。
- 深町
- 週末に(ピッチ)イベントがありまして……用意してます(笑)。
- 藤原
- でね、これもお作法に近いんですけど、とはいえ産みの苦しみってあるわけじゃないですか。作る側も売る側も、全く新しいプロダクトなので。これから売っていくっていう商材ではあるんですけど、今日の時点で一番個人的に、このプロジェクトで一番難しかったところを、あえて一個それぞれ挙げていただくとすると、どういうところがチャレンジングでしたかね?
- 高橋
- 僕、だいぶ泥臭い話なんですけど…….
- 藤原
- そういうのが訊きたいんです(笑)。
- 高橋
- 初めは、データサイエンティストとしてこのプロジェクトに入りました。2022年の9月ごろから、既存のAWSで立ち上げているクラウドアプリを引き継いだのですが、それがかなりボリューミーでした。使用されているプログラミング言語や、クラウド周りに当時は詳しくなかったので、そのあたりを理解するのが重かったです。

- 藤原
- プログラミング言語って、Pythonじゃなかったんでしたっけ?
- 高橋
- バックエンドがPythonじゃないんですよ。JavaScriptなんですよね。
- 藤原
- え、ノード(Node)?
- 高橋
- ノード(Node)ですね。で、JavaScriptのStrapiっていうフレームワークみたいなものを使ってて、そこがやっかいですね。
- 藤原
- 結構ね、そういう話ウケたりするんすよ、特に技術系の方で、大体AIベンチャーというとPythonでしょみたいな、裏も表も。あ、JSですか…….みたいな(苦笑)。
- 高橋
- はい……
- 藤原
- 意外なツールを使ってますね。で、そういった初めてのものを使う、ガサっと引き受けなければならなかったところが、今から振り返ると一番難しかったポイントということですね。
- 高橋
- はい。
- 藤原
- じゃ、一旦平等に話を振らせていただいて、深町さん、これからプロダクトを売っていくというところで、まだ本当の難しさはこれからだと思うんですけど、今日の時点で「いやーこれはちょっと……」みたいなことはありますか?

- 深町
- そうですね。私たちが作ろうとしていたものが、現場で本当に欲されているものとけっこう乖離している、ということがあったりします。たとえば、海外のお客様でかなり重要視されているニーズが、日本のお客様ではそこまで重要視されなかったり。別のお客様からは、まったく別のところに焦点をあてて開発したほうがよいのではないか、というフィードバックをいただいたり。まだ正念場はこれからだと思いますけど、実際のマーケットが欲しているものを汲み上げて、すり合わせて、見極めていくというのは、すごく難しいポイントなんだろうなと思っています。
- 藤原
- なるほど。いわゆるPMF(プロダクトマーケットフィット)を地で行ってる感じですよね。
- 深町
- そうですね、はい。
- 藤原
- ちょっとプロトタイプを作ってみたけど、お客様から「いや、そうじゃなくて、こっちなんだけど」みたいなのを繰り返すという。それはもう、どのプロダクトでも一緒ですけどね。では、逆の質問で、チャレンジングだったかもしれないけども、やりがいあった、もしくは面白かったとか。例えば、さっきのStrapiってやったことなかったけど、何かやってみたら良い経験になった、とかね。やってみて面白かったとか、学びがあったとか個人的で結構なんで何かあったりしますかね?
- 高橋
- 辛いところもあったんですけど、詳しくなかったクラウドのサービスやJavascript実装などの新たな知識を得られたのは面白かったと思います。
- 藤原
- ほー。どのサービスが今回おニューだったんですか?
- 高橋
- おニュー……
- 藤原
- おニューです。多分、AWSとか。
- 高橋
- そうですね、AWSのサービスで言うと、まずECSとかはあんまり使ったことなかったです。

- 藤原
- コンテナサービスですね。
- 高橋
- AWS Batchとかは使ったことあったんですけど。EFSは使ったことなかったですね。
- 藤原
- Elastic File Systemというファイルシステムがありますよね。
- 高橋
- あとやりがい的にはPoCのタイミングでは、結構現場に行かしてもらえたので、お客様と割と密にコミュニケーションとりながらできたかなと思います。実際現場に行って面と向かって話すとか、コロナ前だったんで、そのあたりは良かったかなと思います。
- 藤原
- そう思うと、プロジェクトの始まりはコロナ前だから、長い期間をかけて進めているプロジェクトになりますね。
- 高橋
- そうですね、ちょうど3年前ですね。
- 藤原
- いやでもね、その3年て結構面白くて、「そんなに時間かかるんだ」って知らない人からするとびっくりすると思います。今回はAIのプロダクトですけど、準備期間を含めると3年かかるというのは、結構意外に思われる方多いと思うので、その「3年」というのは一つキーワードに入れておいてもいいかもしれませんね。分かりました。
で、同じ質問の回答を準備されてると思いますけど、深町さんいかがですか?
- 深町
- 私は3年ある中で、本当にこの1年でジョインした形になるので、まず今まで何やっていたのかだとか、そもそも個人的な話ですけど、AIを売ったことがなかったので、その理解のところが難しかったですね。
- 藤原
- そうですよね、だって深町さん、そもそもここ1年で、ニーズ分析から販売まで幅広い仕事を任せられてますよね。とても頼もしいですが、ご本人としては「いやいやいや、私そもそもAIお初ですけど」みたいな感じでしょうか(笑)。
- 深町
- はい……それで、プロジェクトの経緯をたどろうと思ったら、社内フォルダが迷宮化していたりとか(笑)。

- 藤原
- そうそう、それこそ大介さん(高橋)に、ようやくフォーマット決めてもらったから今は整理されてますけど、それ以前のやつってスパゲッティ状態で、情報を探すのも一苦労みたいなものもあったりしますよね。
- 深町
- ちょっと本筋からは外れますけど、そのあたりがなかなか難しかったところですね。
- 藤原
- 分かりました。僕も4年以上前に発生したプロジェクトのフォルダは、できれば見たくないですもん(笑)。
- 一同
- (笑)。
- 高橋
- 全員そう思ってると思います(笑)。
- 藤原
- では、最後の質問として、このプロダクトがこういうふうに成長して、バージョンアップしていけば面白いといった将来像を、これも会社の見解とは全く関係なく、個人的にこうしたらいいんじゃないかといった話をそれぞれいただけますか?
- 深町
- まずはこの製品を国内の方に使っていただくというところが、私のミッションだと思っています。たださきほど海外の話が出たと思いますけど、かなり海外に需要があるとも思っていて。国内で多くの方に使ってもらいつつ、海外に持って行って、全世界の人たちが当たり前のように、心の障壁なく、安全管理のツールを使ってもらえるようになったら、凄くおもしろいと思いますね。
- 藤原
- 確かに人の命に関わるところなので、当然日本以外でも使われるべきだと思いますね。では最後に、大介さん(高橋)、締めにバチっと。
- 高橋
- 安全管理ソリューションには、複数のいろんなモデルがありますが、その内の一つに侵入検知っていうのがあります。名前の通り事前に設定したエリアに、人が入っているかどうかを判定する作りなんですけど、それって別に安全管理的な使い方じゃなくても、例えば防犯用途など、いろんな使い方が考えられると思います。なので安全管理以外のところで、引っかかったりしないかなというのはあります。あとは、工事現場における特殊車両を検知することで、車両の稼働率を計算できないかなと考えています。その稼働率を元に、レンタル費用の削減に繋げられるので、安全管理と言いつつ違うところのニーズも実はあったりするんじゃないかなと思ってます。

- 藤原
- そうですね、まさに物流業界で言うと、大手はどこもやってますけど、昔からやってるルートやトラックの稼働率の最適化が一番ポピュラーなところですかね。これらは相当コスト削減していると各社情報を出してますから、その文脈でも使える可能性はあるでしょうね。実際に大介さん(高橋)自身も鉄鋼業界で働いていた経験があって、そういう現場の知見があるからこそ、そのニーズに気付けるんでしょうね。
- 藤原
- 本日は貴重なお話、ありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。