社長日記#04「縦割りか、横割りか、全てはバランスだという話」

社長日記#04「縦割りか、横割りか、全てはバランスだという話」

先日、HACARUSの全メンバーに対して、体制変更のアナウンスをしました。
会社組織の内部構成を、職種単位(横割り)から事業単位(縦割り)に切り替える、という内容です。

スタートアップが成長するうえで、よく言われる成長痛というものがあります。
それは、

「30人・50人・100人の壁」

というものです。

それぞれの壁についての説明は、他に譲るとして、HACARUSは今まさに50人の壁を乗り越えようとしています。
(ちなみに、HACARUSで働いてくれているパートタイムやインターンのメンバーを含めると100人に近くなってしまうので、実際、乗り越えるべきはもう1つ先の壁かもですが。。)

なぜ、この規模のスタートアップで、事業部制などというものを導入しようとしているのか。

事業部制と聞くと、普通は大企業が導入する仕組みに思う人も多いと思います。
かくいう自分も「事業部制」と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、大企業病・セクショナリズム・サイロ化といった、どちらかといえば、ネガティブな言葉だったりします。

この意思決定の背景には、HACARUS特有の事情と、コロナ禍の影響が密接に関わっています。

 

まず、HACARUS特有の事情から。

HACARUSでは、製造業、医療、インフラなど、時間軸・予算規模・規制が全く異なる事業領域を「あえて複数持つ」戦略をとっています。

これまでは、データサイエンス、アプリ、エッジ、営業、管理といった職種を組織内のユニット(単位)として、そのユニット内で各事業に必要なリソースを都度アサインする、といった形をとっていました。
このやり方のメリットは、なんといっても、柔軟性とスピードです。

ある事業のプロジェクトが一段落したら、また別の事業のプロジェクトに着手することで、事業間でリソースの融通を利かせることができます。
メンバーの視点から見ても、色々な事業のプロジェクトに関わることで、視野が広まったり、新しい知見が得られるチャンスが増えます。

一方で。

人員が事業に固定されないことで、それぞれの事業に対する深い理解が進みにくい、事業の方向性がなかなか見えにくい、といった課題が出てきます。
単一事業だけを手掛けるスタートアップでは、この手の課題はあまり顕在化しないことが多いですが、複数事業を手掛けると決めた時点で、これはある意味、避けて通れない課題だと思います。

 

次にコロナ禍の影響。

企業がリモートワークを取り入れて、それなりの時間が経ちました。
HACARUSでも、在宅とオフィス出社を組み合わせたハイブリッド勤務の体制をいち早く導入して、現在も続けています。

ハイブリッド勤務のメリットは色々なところで言われているので、ここでは触れません。
最大のデメリットは、やはり、コミュニケーションです。

SlackやZoomなどのツールを使ったコミュニケーションでは、どうしても、同じ職種内のメンバー同士のコミュニケーションに偏りがちで、他の職種のメンバーが何をしているのかが、見えづらくなります。

複数の職種のメンバーが協調して進めるのが「事業」であって、複数の事業の集合体が「会社」であると考えられます。

他の職種のメンバーが何をしているか見えづらい、ということは、結果的に事業そのものがどこに向かっているのかを見えづらくします。
それぞれの事業がどこに向かっているのかが見えづらくなれば、会社全体がどこに向かっているのかも見えづらくなります。

リモートワークによって、事業や会社といった、大きな集団が感じづらくなってきているという課題は、あらゆる企業の経営者が直面しないといけないものだと認識しています。

 

人員を事業に固定することによって、少なくとも事業内での職種をまたいだコミュニケーションは、ある程度、活性化されてきます。

問題は、事業間のコミュニケーションをどう確保するかですが、これは単純に、旧体制で実践されてきた職種ベースのコミュニケーションのやり方、具体的には様々な会議体やタスクフォースを、引き継げば良さそうです。

縦割りか、横割りか、といったゼロイチの問題にするのは簡単ですが、結局のところは全てバランスなのではないかと思います。

スタートアップの経営者として、コロナ禍によるリモートワークの状況下で、しかも不確定な世界情勢の中で、30人・50人・100人の壁を超えていくという、ある意味、貴重な経験を積ませてもらっているので、それはそれで、ありがたく感じている、今日このごろです。

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