
2020年12月17日に、滋賀大学データサイエンス研究科に所属する修士学生の方々を対象に、HACARUSのデータサイエンティストが特別講義を行いました。
今回の講義は、2019年に引き続き、二回目の開催となりました。
滋賀大学データサイエンス研究科は「複数分野の領域知識をもち、方法論とデータをつなぎ、価値を生み出す人材」を育てることを目標に2019年の4月に開設された、日本で最初の大学院データサイエンス研究科です。
滋賀大学データサイエンス研究科教授でHACARUSのアドバーザーも務めていただいている河本薫先生の集中講座の一部として、HACARUSのデータサイエンティストが講義を担当させていただきました。
「製造現場での外観検査における機械学習の活用」というテーマのもと、HACARUSのCTO木虎、データサイエンティストの宇佐見、岩尾、安本の4名にて講義を行いました。2019年は2コマを担当させていただきましたが、2020年は3コマを担当させていただき、画像処理と機械学習など一部項目を追加するなど、内容も前年より充実させて臨まさせていただきました。
講義前半では、機械学習やデータ分析の実プロジェクトを進めるにあたり、どのような課題が起こりうるかという点について、外観検査のプロジェクトを例に説明しました。
機械学習の具体的な手法などの技術的なことについては、普段の講義等でも学ぶ機会が多くあると思いますが、実際にプロジェクトを進める上では技術的な知識だけでは解決が難しい課題が立ちはだかることがよく起こります。そこで今回の講義では、実際のプロジェクトでもよく見かける以下の7つの課題について、実例も交えて説明を行いました。
- 不良品のデータが少ない
- 不良品の見逃しが許されない
- 不良品の定義が曖昧
- タクトタイムの要求が厳しい
- データセキュリティが厳しい
- 説明責任が強い
- 誤った期待感
実際にプロジェクトを進める上で直面しうるこれらの課題に対して、どのような対処が可能かということについて、受講していただいた学生の皆さん一人一人に考えていただきました。
今回の講義を受けていただいた修士学生の方々の中には、学部からの進学された方以外に社会人の方も多くいらっしゃったのですが、特に企業から来られている社会人の皆さんには、ご自身の企業の具体的なプロジェクトに当てはめて上記の課題を考える機会となりました。
皆さん本当に真剣に取り組んでいただき、考えていただいたアイデアの中には我々自身も勉強になるような回答も多くありました。
講義後半は、グループに分かれての実習形式で、外観検査のプロジェクトを想定した課題に取り組みました。ただ単に機械学習のアルゴリズムにデータを入力してスコアを競うのではなく、データをじっくり観察したり、どのようにして特徴量を抽出するかを考えたりすることの大切さや、またその楽しさを感じてもらいたいと用意した実習課題でしたが、皆さんその意図をしっかり理解して取り組んでくださっていたように思います。
最後にグループごとに、考えたアイデアや分析した結果を発表してもらったのですが、どのグループもユニークなアイデアで素晴らしい発表でした。
最後に受講していただいた方からの感想の一部を紹介させていただきたいと思います。
この課題に取り組むことで、改めて自社のサービスの在り方を考える良い機会になりました。画像データを使った分析業務の疑似体験もおもしろかったです。
大学でPythonのプログラミング学習をハンズオン形式で受講する機会が少ない中で、企業内で生じる課題を想定した内容を加味して学べた経験は、私の中で一つのベースとなる経験となり、非常に有意義なものとなりました。
2020年はコロナウイルス感染症対策の観点からオンラインでの講義となったため、伝えたいことをきちんと伝えることができるか不安もあったのですが、このような感想をいただくことができ良かったです。
今後もこういった講義や講演等を通じて、データサイエンスに対する我々HACARUSの経験や思いを伝えていければ嬉しいです。
(記:HACARUS データサイエンティスト 岩尾)