【連載記事】大企業人材のスタートアップ挑戦 出向元企業と社員の本音 vol.02

【連載記事】大企業人材のスタートアップ挑戦 出向元企業と社員の本音 Vol.02

株式会社HACARUS (以下、HACARUS) 代表取締役COOの染田です。HACARUSでは、2021年4月からダイキン工業株式会社様(以下、ダイキン)の技術者を在籍出向社員として受け入れる取り組みを開始しました。HACARUSとダイキンは、2023年4月から資本提携し、合わせて業務提携を開始しています。

出向元であるダイキン工業テクノロジーイノベーションセンター 主任技師の藤本さんと、実際にHACARUSに出向された石破さん、岡村さんからインタビュー形式でお話しをお伺いしました。

vol.01の続き)

データサイエンティスト集団の中でAI開発業務を学ぶことが出向のモチベーション

——ありがとうございます。では、ここからは実際に弊社に出向いただいたお二人にもお話しを聞いてみたいと思います。それではまず石破さんから自己紹介をお願いします。


ダイキン工業株式会社テクノロジーイノベーションセンター 石破さん

石破さん : ダイキンの石破です。大学の専攻は機械系で、2018年入社時から始まったDICTでの二年間の社内研修で初めて情報学系の技術に触れました。1年間は座学研修でAI/IoTについて学び、2年目はOJTで事業部での実地研修の後、HACARUSへ出向になる前までは画像検査自動化プロジェクトでアルゴリズムの適用可能性検証や撮像システムの構築に取り組んでいました。HACARUSでは、主に画像分析業務を担当し、メインは病理画像における異常部位の検知自動化プロジェクトチームにアサインされていました。具体的に業務内容としては特徴量エンジニアリングから適用モデル検証、検証結果報告資料の作成、お客様への報告まで、データ分析における一連の業務を担当しました。


ダイキン工業株式会社テクノロジーイノベーションセンター 岡村さん

岡村さん : ダイキンの岡村です。石破さんと同じ2018年にダイキンに入社し、1年目はDICTの1期生としてAI/IoTについて学ぶことに集中させてもらっていました。その後2年間、研究用GPUスパコンの構築・運用に携わった後、出向前まで工場でのDXの一環として、目視検査を代替する検査アプリの導入・実装を行ってきました。
HACARUSでは、AI外観検査システム 「HACARUS Check」および「HACARUS Check Basic 」アプリのフロントエンド開発に携わらせていただきました。主には、モデル学習を行う為の学習用データを抽出してデータセットを作成する機能、検査用マスクをアプリ上で作成・編集する機能等の実装を担当させていただきました。

——ありがとうございます。お二人は同期なのですね。大企業に所属しながらベンチャー企業へ出向することは、さまざまな観点でチャレンジングだったのではないかと思います。どのような期待感を持って、HACARUSへの出向に手を上げられたのですか?

石破さん : 大きく3点あります。研修が終了した2020年当時、弊社内のデータサイエンティストの数はそれほど多くなく、自己流かつ1人でプロジェクトを進めていました。そんな中、チームでデータ分析業務をどのように実施するのかや、データ分析のアプローチなど、本来のデータ分析業務を知りたかったんです。また、出向前当時の業務は社内向けのプロジェクトで、成果物に対してある意味融通の利く状況であったので、お客様が社外の場合はどういった形で成果物を準備するのか実務で経験したいと思っていました。さらに、一般的に言われるベンチャーと大企業との業務のスピード感の違いを経験したかったという点も出向のモチベーションになっていました。

岡村さん : 私の場合は、同僚や先にHACARUSへ出向していた石破さんから「岡村の気質はベンチャーに向いていそう」と言われることがあり、実際ベンチャーでの仕事ってどんなものなのだろう、と興味があり、手を上げました。
また、ダイキンで私の所属する部署は2020年に新設されたばかりの部署で、DICT卒業後に参加したメンバーがそれぞれテーマに取り組んでいる状態でした。この度の出向では、HACARUSで行われているチーム開発や、製品の手離れを考えた標準化の考え方等を持ち帰りたいという目的もありました。

——ダイキンに在籍しながら弊社への出向を通じて、ベンチャー企業での業務を経験いただける点を魅力に感じていただいたのですね。現状に満足することなく向上心を持って弊社に参画いただけたこと、HACARUSとしても非常にありがたいです。出向前に不安に思われていたことはありましたか。

石破さん : ダイキンからHACARUSへ出向するのは私が初めてだったので、どこの馬の骨かもわからない新米の私を、HACARUSの皆さんに受け入れてもらえるか、仕事についていけるかなど不安を挙げればきりがなかったと思います。

岡村さん : ベンチャー企業といえば少数精鋭で開発を行っているイメージがあり、これまで我流でやってきた技術が通用するかというのは少し不安でした。

実際に感じたベンチャーのスピード感、大企業とのギャップ

——実際に弊社へ出向されてみて、いかがでしたか。印象的だったことはありますか?

岡村さん : ベンチャーならではのスピード感を出向当初から強く感じました。私はこれまで主にダイキン社内の人たちを相手に仕事をしていたため、色々と融通が利きやすい環境の中、余裕を持ってテーマに取り組んでいました。ですので、出向当初は「随分無茶な予定を立てるな」とも思った記憶があります。C#での開発も、フロントエンドの開発もほとんど経験がなかったので、周りのチームメンバーの方々との技術的な力量差をかなり感じました。出向途中に開発・サポートに参加された方々も凄い方ばかりで、ついて行くだけで精一杯でした。そんな中で目標に向かって走り続ける内に、その目標は現実化していき、またPoCやお客様とのお話の中でどんどんより良い形へとブラッシュアップされていく様は非常に印象的でした。技術面についてはチームの皆さんが丁寧にフォローしてくださいました。

石破さん : チームでのデータ分析の経験がなかったので、とにかく初めの頃は周りの方にしがみつくのに必死でした。幸いにもプロジェクトメンバーの方々にフォローいただき何とかキャッチアップできました。 HACARUS技術者メンバーは、バックグラウンドが様々で、知識領域の広さには驚きました。またプロジェクトメンバーのデータ分析力やエンジニアリング力がとても高かったです。ベンチャーというと血の気が多い方が多い印象がありましたが、HACARUSには穏やかな方がむしろ多かった印象です。
印象に残っている出来事は、担当していたプロジェクトの継続契約をクライアント様から頂けたことです。クライアント様へ分析の内容をどのようにお伝えするのが良いか、これまで経験がなかった私にとっては難しく、チャレンジでした。分析結果報告の際には鋭い質問を度々いただいていたのですが、分析からレポーティングまで、一定程度評価いただけたのかなと思い、やりがいを感じました。

——弊社での出向を通じて感じられた、大企業とベンチャー企業のギャップはありましたか?

石破さん : 業務として取り組む範囲が大きく異なりました。ベンチャーでの価値創出の方向性は柔軟なので、データ分析を主軸とした狙いはありつつも周辺を含めた広い領域で業務を行うのに対して、弊社では出来上がったビジネスモデルの中でどのように価値を出すかというところに注力していたので取り組みの範囲としては狭いのではと思います。

岡村さん : 開発部門以外の部門のメンバーや経営層の方々との距離の近さですね。CEOの藤原さんとは、ふとしたタイミングで昼食をご一緒させていただく機会もありました。また出向最終日の送別会の際には営業の方に、「岡村さんが実装した追加機能をバリバリ使っています」とも言って頂き、開発とビジネス部門の距離の近さを実感しました。
また、会社が成長真っ只中で、HACARUS Checkの開発チームメンバーは、出向当初からの1年間で倍ほどまでに増えていました。まさに会社が大きくなるその過程というものをリアルに見させていただきました。

vol.03に続く)

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