【連載記事】大企業人材のスタートアップ挑戦 出向元企業と社員の本音 vol.03

【連載記事】大企業人材のスタートアップ挑戦 出向元企業と社員の本音 Vol.03

株式会社HACARUS (以下、HACARUS) 代表取締役COOの染田です。HACARUSでは、2021年4月からダイキン工業株式会社様(以下、ダイキン)の技術者を在籍出向社員として受け入れる取り組みを開始しました。HACARUSとダイキンは、2023年4月から資本提携し、合わせて業務提携を開始しています。

出向元であるダイキン工業テクノロジーイノベーションセンター 主任技師の藤本さんと、実際にHACARUSに出向された石破さん、岡村さんからインタビュー形式でお話しをお伺いしました。

vol.02の続き)

1年間の武者修行。ベンチャー企業での学びと成長とは?

——石破さんは出向から戻られて1年と少し、岡村さんは数ヶ月が経過しました。藤本さんの立場で感じられるお二人の成長や変化はありますか?

藤本さん : 石破さんは、出向前よりも、自らの技術に対して自信を持って取り組めるようになったように思います。また、利用者にとっての利点や享受できる利益は何なのかを以前よりも意識してテーマに取り組むことが出来るようになりました。岡村さんは、製品開発のチームに参画させていただいていたこともあり、利用者視点で物事を考えることが以前よりも出来るようになったように思います。さらにテーマや作業の納期感を以前よりも明確に持つことが出来るようになりました。また、2人ともチームでの開発を経験し、ダイキンに戻ってからの業務でも、チーム開発のイメージを持てるようになったと思います。

—— 1年間の出向期間を経て、お二人が感じられたご自身の変化や気付き、成長はありますか?

石破さん : まずは分析力、分析過程や結果の見せ方についての意識、分析スピードのそれぞれのレベルが上がったように思います。(HACARUSメンバーに到底追いつきませんでしたが… )
また、複数のプロジェクトを経験させていただき、課題設定の重要性について気付かされました。AIリテラシーの高くないクライアント様や、アセスメント依頼の課題設定自体に再考の余地があるものもありました。その点で課題の見極め力みたいなところも養われたように思います。ダイキンに戻ってからは、導入には至らなかったものの、外観検査がテーマのPoCを実施し、データ取得から分析、レポーティングまで、外観検査システムの導入可能性検討を短期間で実施することができました。HACARUSでの経験を大いに活かすことができたプロジェクトです。

岡村さん : AI外観検査システム「HACARUS Check」について、プロトタイプの時代から、ハード・ソフト共に様々な進化を経て最後にはお客様のもとへ機器が納品され、その後の顧客サポートや、さらにはその先を見据えた開発まで経験させて頂きました。
その過程で行われた議論や開発の視点、考え方はダイキン社内の方を相手にしていたこれまでの私にはないものが多くあり、出向前に比べて様々な所で仕事での視野が広くなったように感じています。
まだダイキンに戻って間もないですが、これから日々の業務でHACARUSでの経験が様々に活かせる場面が出てくると思いますので、学んだ経験を存分に発揮していきたいと思います。

—— 最後に今回の出向についてのご感想と、出向をご経験されたお二人が今考えられているこれからのキャリアについてのご展望についてお聞かせいただけますか?

石破さん : 社会人になってからこれだけ学ばせていただけることは他ではまずないことですし、そもそもこの教育制度がなければ私は情報系の分野に足を踏み入れてないことを思うとある意味人生を変えていただいたと思っており、ダイキンには感謝しています。また出向制度に関しては社内にとどまらず外の世界を見ることができたという点で大きな経験でした。出向前に想像していたものと実際は少なからず違っていましたし、やはりジョインしないとわからないことも多々あると思います。戻ってからの業務では、自信をもって仕事に取り組むことができるようになりました。やはり外の世界を見るだけでなく体感することができたことがとても貴重な経験となりました。

岡村さん : DICTを経て社内の人たちを主に相手にする部署へ…という流れで、これまで「箱入り」で育てて頂いてきました。この度の出向では、その「箱」から出てお客様に近い場所で働く、ということで非常に得難い経験をさせて頂いたと思っています。大変だと感じることも色々とありましたが、ダイキンではできない経験を沢山させて頂き、また様々なノウハウを持ち帰ることができたように思います。とても実りの多い出向をさせて頂いたように感じています。

—— 今回の出向を通じて、将来のキャリアに関する考えに何か変化はありましたか?

石破さん : 出向する前は、データサイエンティストの仕事というと、アルゴリズムを一から作るイメージが強かったのですが、作られた技術をどう現場に展開していくのか、どう活用していくのかというところのスキルを伸ばして行きたいなと思うようになりました。

—— 実際に現場に適用するプロセスに興味や関心を持たれたのですね。

石破さん : そうですね。HACARUSでの業務を通じて、アルゴリズムそのものだけではなくどのように現場に適用してけば良いのかというプロセスを体験したことで、その部分の仕事の面白さややりがいを知りました。

——岡村さんはいかがでしょうか?

岡村さん : 私は、色々とやってみてからキャリアについても決めていこうと考えているタイプで、今時点では明確にキャリアビジョンを持っているわけではないのですが、今回の出向を通じて色々なことを経験し、知ることができたので、今後の選択肢や可能性の幅が広がったと思っています。

藤本さん : データ活用推進グループ(特に二人が所属しているチーム)でやっていることは、ダイキンの現場の業務改革/改善のためのプロジェクトが中心です。社内向けのプロジェクトということもあり、スケジュールについても柔軟に調整できるところがあります。今回2人は、社外のお客様に向けたプロジェクト内にて”納期を守ること”が次の契約に直結するということを経験させていただき、納期意識が高くなっていると感じていますダイキンに戻ってきて、その意識を継続して持ちながら仕事をしてもらいたいと思っていますし、周囲のメンバーに対しても良い影響を与えてもらいたいと考えています

岡村さん : 最初の1〜2ヶ月ほどはダイキンでの仕事と同じようなスピード感、雰囲気で仕事をしていたのですが、実はHACARUSのメンバーから指摘をもらって意識が変わりました。

——そうだったんですね。岡村さんに参画いただいた製品開発チームはしっかりとマイルストーンを定めて開発をすすめていると思います。

岡村さん : はい、最初はスピードについていくのがやっとというところがあったのですが、徐々についていけるようになっていたと思ってます。終えてみると、なんだかんだでなんとかなるものなのだなと感じています

——お客様へ価値を届けられるものを、できる方法でなんとか作り上げるということを、そのビジネスの最初の段階から開発して実現するところまで全体像をもちながら「ご自身でなんとかやり遂げる」ご経験をしていただけたのは良かったかも知れません。これはスタートアップならではの経験だと思います。

——最後に、出向者を送り出す側の立場として、藤本さんのご感想はいかがでしょうか?

藤本さん : 今回の出向を通じて、当初目的としていた、①実際の顧客と相対する現場において、要件定義などのプロセスを通して、より高度で専門的な経験を積むことにより課題設計力を強化すること、②HACARUS製品開発に携わることを通じて、商用品質レベルのAIシステム開発の知見を獲得することが実現できました。今後もダイキンの人材育成の場として継続して人材の交流ができればと思います。

——ありがとうございます。受け入れ側として何かと至らない点も多くあったかと思いますが、少しでも我々がダイキン様のお役に立てた部分があれば大変光栄に思います。出向社員さまをお迎えする弊社の立場といたしましては、AIを導入する企業様の考え方や知見を取り込むことができること、企業に所属するAI人材が増えること自体が我々と事業会社とのAI開発をよりスムーズに進めることに繋がると考えており、こういった取り組みは今後も継続していきたいと考えています。改めまして、藤本さん、石破さん、岡村さん、ありがとうございました。

(完)

ニュースレター購読Newsletter

登録はこちら