HACARUS データサイエンティストが滋賀大学データサイエンス研究科にて講義を実施

HACARUS データサイエンティストが滋賀大学データサイエンス研究科にて講義を実施

去る2019年12月19日に、滋賀大学データサイエンス研究科に所属する修士学生の方々を対象に、「製造現場での外観検査における機械学習の活用」というテーマで、CTO 染田、CDO 木虎、そしてデータサイエンティストの増井の三名にて特別講義を行いました。滋賀大学データサイエンス研究科は今年の4月に開設されたばかりで、その栄えある一期生の皆様に対して講義を行うということは私たちにとっても光栄な事でした。

データサイエンス研究科には学部からの進学された方以外に社会人の方も数多く在籍しており、そのバックグラウンドも製造業やIT系など多岐に渡られていました。そこで今回の講義を行うにあたり、もっとも留意したのは、極力「機械学習の手法にフォーカスしない」事でした。既に業務や講義カリキュラムを通じて技術的な観点で手法については学ばれているため、そこで学んだ技術を最終的にユーザに届けるために、どういう事を乗り越えねばならないか、という事を、HACARUS での経験に基づいてお伝えしたいと考えたためです。

ですので、機械学習を用いたプロジェクトを進めるにおいてはよく見るであろう、以下のような 7つの課題を外観検査のプロジェクトでの経験を紹介しつつ、学生の皆様にどういったアプローチで提案するかを一緒に考えてもらいました。

  • 不良品のデータが少ない
  • 不良品の見逃しが許されない
  • 不良品の定義が曖昧
  • タクトタイムの要求が厳しい
  • データセキュリティが厳しい
  • 説明責任が強い
  • 誤った期待感

また、実際のプロジェクトを題材に、どんなものが検査されているのか、どういった性能要求があるのか、既存の撮像装置や照明を使えばどんなことができるのか、などもお話しました。通底してお伝えしたかった事は、機械学習のアルゴリズムを考えたり、使ったりする事だけがデータサイエンティストの仕事ではなく、お客様の課題を理解し、ビジネスの現場で機械学習の力を享受してもらうためにデータサイエンティストができることは沢山あるということです。

また実習においては、画像解析を行うにあたり、一足とびに CNN を使うのではなく、データをじっくり見ることで、シンプルな手法でもそれなりの性能が出るということを体験してもらいました。対象のデータと課題にあわせて、様々なアイディアや解決策を模索する楽しさを少しでも感じてもらえればと思い、いくつか引っ掛けも含めていたのですが、皆様短い時間でもしっかりと気づかれ、さすがといったところでした。 1時間の演習では物足りず半日くらいは楽しめるような内容になったので、この演習は別の場所でもお披露目したいと考えています。

カンファレンスやセミナーでの登壇とは異なり、学生の皆様への講義は久しぶりでしたので、どこまで伝わったのかの懸念もありましたが、後日以下のようなメッセージを参加した方からいただき、胸を撫でおろしました。

データサイエンスを実践されているHACARUS様の話は貴重で非常に勉強になりました。特にデータによるビジネス課題の解決をしていくうえで、お客様や他部署など、実際に使用する現場とのコミュニケーションが大事と痛感しました。相手の課題をしっかり把握することを念頭におくようにします。

HACARUS として、サービス提供者やユーザといった様々な立場の方々が AI 開発プロジェクトの特性を理解し、その勘所をつかんでいくことは、今後の AI ソリューションの発展には欠かせないと考えており、今後もこういった教育機関での講演等を通じて伝えていきたいと考えています。もしそういった HACARUS のデータサイエンティストの講義にご要望をお持ちの教育機関の方がいらっしゃいましたら、こちらよりお問い合わせくださいませ。

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